箱根にて

あなたは何故に食も無く、　何故に眠りも浅く

ほほこけ　まなこはくぼみ　歯を痛み　胃は酸となり

深い山の中　木枯らしに身を置くの？

矛盾の多い社会の中　ただ働き　ただ生きて

六十年の蓄積したものが崩れた時

子や孫に遺し置くものが飛び散った時

それは商売の基であるもの、計画が夢と消えた時

死力を尽くした闘いに敗れた時

自己の浅はかさの彼方に立って省みる時

虚脱感　自信喪失　無念さ！

思考力の停止　さだまらぬ焦点

長い苦しい時間との闘い


十二月十八日これを記す時

あなたはこのまま消える時をぼうっとしているのか？

結果はどうあれ後悔だけで終わらせるのか？

年は重ね晩年ではあるが　やはり生きなければならない

息子達は壮年であり青年ではないか

孫達は健康であり笑顔が光っているではないか

夢があり力があり　走り回っているではないか

これがあなたの本当の財産であり宝ではないか

きっとあなたの生きてきた道をあなどりはしないだろう

あなたはまた闘いを始めるだろう

見果てぬ夢であるかもしれぬ何かに向かって生きるだろう

他国で六十年　力も学もないあたなは汗だけ流すだろう。


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これは二十数年前にバブルが大崩壊し
数十億以上の借金を抱えてしまった時に
叔母が書いたものである。

多分、自殺したかったんだろう・・・・

叔母は何故かこれをﾜﾀｸｼに
捨ててね。と言い、渡した。


この後、叔母は2人の息子を病気と事故で亡くした。

地獄の苦しみを味わい、80歳を過ぎた叔母の現在は

末息子と孫達の近くに住み
静かな日々を過ごしている


やっぱり子供がいるっていいな・・・・・