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伊藤みどりの目 [四方八方話]


浅田真央選手の演技にはいつもドラマが生まれる。
人間味があるというか、周囲をハラハラドキドキさせるというか。
みんなが思わず、応援したくなる。
SPで放心した浅田選手の表情を見て日本のフィギュアファンの気持は沈んだ。
日本だけではない。インターネット上の書き込みを見ても、
世界のファンが心配していた。本当に愛されているんだな、と感じた。

SPで失敗し、どうなるかわからない精神状態でフリーを迎えた。
モチベーションは、トリプルアクセルを決めて6種類すべての三回転ジャンプを
跳びたいという心の奥底からの願望だったと思う。

SPを控えた公式会見で、外国人記者から尊敬する競技者を聞かれ、
私の名前を挙げてくれたという。
「五輪でトリプルアクセルを跳んだのを、自分も受け継いでいけたらいい」と。
私もこだわり続けた技。なぜなら、私の代名詞だったから。
誰もやらないことにこだわった彼女の気持には共感できる。

フリーは、今出来る最高のトリプルアクセルだった。
挑戦し続けて今季初めて認定された意義は大きい。
その後も、ジャンプの回転不足はあっても気負うことなく、攻めて一つ一つ、決めていった。
見ている私も、一つ一つ、頑張れ、頑張れと、一緒に演技している気持になった。
それほど、引き込まれた。

浅田選手は自分の中で相当闘っていたのだろう。
演技が終った瞬間にリンクで流した涙はいろいろな意味があったと思う。
やりきった感動、重圧に打ち勝った喜び、苦しさからの解放、
見守ってくれた人々への感謝…。
会場で、テレビの前で、どれだけの人が一緒に泣いたことだろう。

演技構成点が何点だったとか、順位をいくつ上げたとか、 そんなことを超越した次元で感動させてくれた。 2大会連続のメダルは取れなかったが、記憶に残るスケーターになった。

もう1人、ソチを集大成として挑んだ鈴木明子選手も、悔いが残らないように
思い切って滑っていた。競技人生でいい時も悪い時もあった彼女のすべてを
演技にぶつけていた。その結果が演技後の笑顔だった。

初めて五輪に挑んだ村上佳菜子選手は、いい経験になった。
細かなミスはあttが、トレードマークの元気印だけでなく、大人の演技を
兼ね備えつつ発展途上の19歳。
これからの日本フィギュア界を引っ張っていってほしいと思う。

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